冬キャンプの注意
12月に入り、めっきり寒くなってきました。今回は少し趣向を変えて「まじめ」なお話をしたいと思います(普段もふざけている訳ではありませんが)。特にビギナーの方々には注意していただきたい「冬キャンプの危険」についてです。
数は多くありませんが、新聞に載るような冬キャンプにまつわる事故は毎年起きています。楽しいはずのキャンプが悲しい結果になることのないよう、是非お読みいただければと思います。
寒さ対策は万全にしましょう
冒頭から脅すつもりはありませんが、「隣のソロキャンパーが、翌朝テントの中で凍死体で発見された。深酔いしたまま眠ってしまったらしい」という怖い話もあります。「飲まなければ良い」というのではなく、雪山登山では低体温症から意識混濁、複数人が死亡という報道もなされています。
まず第一に気をつけたいのは「寒さを甘くみない」ということです。
冬キャンプの寒さは、実際に経験してみないと分かりにくいものです。特に文字だけの情報に頼ると「こんなはずじゃなかった」という寒さに苦しむこともあります。
例えば天気予報の予想気温。標高や上空の寒気により大幅に低くなることもあります。
またシュラフ(寝袋)に表示される「快適温度(comfort)」や「極限温度(extreme)」などの計算法もメーカーにより異なったりします。格安の化繊のシュラフなどは論外です。mont-bell(モンベル)やNANGA(ナンガ)などのダウン(羽毛)シュラフを、表示のプラス5度〜10度は余裕をもって準備したいものです。
それからストーブなどの暖房器具、ポータブル電源と電気毛布なども、ひとつだけの熱源に頼ってしまうと、トラブルがあった際に対応できなくなります。いざという時のため、「使い捨てカイロ*」を一人に付き5パックほどは常備することを強くお勧めします。
(*使い捨てカイロは発熱のために水分を使用する仕組みになっているので、氷点下ではなかなか暖まりにくいこともあります。また今時のカイロは、振りすぎると通気が悪くなり機能しなくなります。低温やけどにも注意してご使用ください)
一酸化炭素中毒の怖さ
十分な知識のないうちは、テント内のストーブ(薪・石油・ガスなど)はお勧めできません。「一酸化炭素中毒なんて、息苦しくなったら換気すれば良いんでしょ?」と誤った思い込みをしている人もいます。
事実はまったくの逆で「苦しくなる」どころか「気持ちよくなって意識が遠のいたり」「眠くなって朦朧としたり」して命を落とすケースもあります(濃度により3分ほどで死に至ることもあります)。
それでも、どうしてもテント内で暖まりたい方もいらっしゃるでしょう。ベテランキャンパーさんにも「かまくら」のような「お籠りキャンプ」を楽しんでいる方がたくさんいます。
その場合、一酸化炭素警報機(チェッカー)を用意するのは大前提。就寝時の使用や、ベンチレーター(換気口)のあるテントなども問題が指摘されています。自らの使用法を想定して念入りに下調べし、経験者に直接のアドバイスを受けるようにしましょう。
燃料系のトラブル
昨年、北海道でキャンプ中にガスボンベ(ガス缶)が爆発する事故が起こりました。缶が冷えて使えないため、ストーブ前で温めているうちに破裂したようです。
一般的な家庭用のガスは、低温時には「ドロップダウン現象」と呼ばれるガス圧の低下が原因で使えなくなります。
登山用のガスボンベ(カートリッジという)やコンロ(バーナーやストーブともいう)には低温でも使える製品もありますが、限度もあります。その場合、ベテランは発火性の高い(ホワイト)ガソリンに移行するのですが、ビギナーにはお勧めできません。
楽しい冬キャンプのために
燃料の扱いは液体・固体にかかわらず、また冬夏問わずに注意が必要です。他にも、水道の凍結や雪道のスリップ、焚き火からの引火などにも気をつけたいところです。とはいっても「冬キャンプに行くな」と言いたいのではありません。
冬のキャンプには、冬ならでは魅力があります。虫が少なく、キャンプ場も静か。星空が美しく、焚き火と仲良くなれる一体感。それに、冬の朝のあの澄みわたった空気は、ぜひとも経験していただきたいものです。
私の大好きなアニメ『ゆるキャン△』も、冬から始まりました。「高校生でも出来るんだから……」と思ってしまいがちですが、「山中湖編」ではしっかり注意喚起もされています。
ビギナーの方はせめて、低地の暖かい地域のキャンプ場から始めてみてください。その際はこのサイトに限らず、下調べを念入りに、準備を万全にして……。