松ぼっくりは天然の着火剤!?
大人気アニメ『ゆるキャン△』の1話目で登場し、有名になったキャンプハック「松ぼっくりは天然の着火剤」……試してみた人は100万人はいると思うのですが(当社調べ)、その結果はどうだったでしょう?
途中で火が消えてしまって、なかなか上手くいかないことが多いんですよね。特に拾ったばかりの乾燥させてないものは。 「松ヤニを含むのでよく燃える」とされているようなのですが、一部が少し焦げただけで終わってしまうことが多いんです。
周囲に訊いてみても、ネットで調べてみても上手く行かない人がけっこういます。このままではいけない! そう思い立ったのが今回の「なちゅガール開発部」の発端です。愛するリンちゃんのためにも、松ぼっくりでの火起こしに挑戦してみたいと思います!
フェザー松ぼっくり
松ぼっくり全体に火が燃え広がらない原因は、乾燥よりも表面の硬さにあると開発部は予想を立てました。ならば、フェザースティックのように表面を細かく裂いてみたらどうだろう? 「フェザー」+「松ぼっくり」=「フェザー松ぼっくり」の誕生です!
ここで念のため「フェザースティック」のご説明。表面の硬い大きな丸太や薪に、いきなり着火しようとしても着きません。柔らかく、空気に触れる面が多い方が良いので、まずは細い小枝や落ち葉などから火を移して焚き火を育てていくのです。
その効果を狙って、写真のように薪をナイフで削り、鳥の羽根(フェザー)のように毛羽立たせたものが「フェザースティック」。ブッシュクラフトのように自然なものだけでキャンプをしようとする人が行う着火方法です。
作り方&実験
それでは実際に作ってみましょう。松ぼっくりには、ご存知のようにたくさんの鱗片(りんぺん)が付いています(鱗片……筆者はご存知なかったのでネットで調べました)。一見、フェザースティックのような羽根型で、空気の通りも良さそうなのですが、ひとつひとつは硬く、分厚いんですよね。
そこでこの鱗片をさらに細かく裂いて行きます。道具は植木バサミを使いました。小さな松ぼっくりでも鱗片は無数にあるので、なかなか根気のいる仕事になります。フェザースティックと同様、無心になって淡々と取り組みましょう。
それでは着火実験に移ります! 松ぼっくりは秋口に拾ってから3ヶ月以上乾燥させたものを使用しています。左が今回作った「フェザー松ぼっくり」で、右が「普通の松ぼっくり」です。フェザーがあまり広がらなかったので、見た目はあまり違いがありませんね。
経過&結果
まずは「普通の松ぼっくり」から。着火の実験ですので、ライターではなくマッチ一本で試みました……が無事成功! さすが「天然の着火剤」ですね!!
風は右から微風が吹いています。見る間に隣の鱗片に燃え広がって炎も上がりました! が、途中から元気がなくなって、風上側だけ燃えて自然鎮火。これまでのキャンプでの経験と同じ結果になりました。燃焼時間は約2分弱。
次に本番の「フェザー松ぼっくり」に移ります。こちらも難なく着火に成功しました。風上から火を点けるというのも、ちょっとした秘訣ですね。
フェザーは燃え始めから勢いが違います! 炎が回り込む前から高く火柱が上がり、風裏まで燃え広がりました。だが、しかし! こちらも途中で自然鎮火。芯まで燃え尽きることはありませんでした〜。タイムの方も約2分半、大差ありませんね。
反省会
総括としては、う〜ん……。苦労してチョキチョキやるほどでもないかな? 実際の焚き火での着火時には、3〜6個くらいの松ぼっくりを用意して、上に燃えやすい細枝をかぶせてやりますから、手間を考えるとオススメできるほどではありませんね。
今回は「十分に乾燥させた松ぼっくり」を使用し、微風状態での実験でした。「拾ったばかりの松ぼっくり」だと結果が違ってくるかもしれません。しかし開発部はこんな「誤差」程度の成果では、まだまだ満足できません! 「松ぼっくり着火剤化プロジェクト」は今後も続けます!!