そもそも「ギャレー」とは?
キャンピングカー業界では「ギャレー」と呼ばれることが多いのですが、簡単に「キッチン」「シンク」「流し台」「洗面台」「水道」などとも呼ばれます。辞書的に「galley」とは、船や飛行機や列車の「調理場」を意味するそうですから、キャンピングカーの場合もこれにあてはまるのでしょう。
法的に「キャンピングカー」と認められる「8ナンバー」の取得のためには、必須と定められている設備です。しかし単なる車中泊車としてなら、「ギャレー」は無くても構いません。大型キャンパーは豪華なキッチンが「売り」だったりしますが、小さな軽キャンパーの場合……
水道の仕組みは2通り?
ビルダーさんが既製品として売るキャンパーの場合、基本的には「シンク」の下に2つのポリタンクが格納されています。給水用のタンクから電動ポンプで蛇口まで揚水し、シンクの排水口から下の排水用のタンクに落ちるという仕組みです。
電源を必要としない仕組みにしたいなら、上方に給水タンクを設置し、シンクを通った後に下の排水タンクで受けるといった簡単な方法もあります。ウォータージャグの下に受け皿を付けただけの構造で、DIYのバンコンやモバイルハウスなどでよく採用されています。
排水タンクに溜まった水は、家の水道やトイレに流して捨てることになります。キャンピングカー用語では生活排水を「グレータンク」、トイレの排水を「ブラックタンク」と呼びます。何かの説明で出てくることもあるので、覚えておくと良いでしょう。
排水をサービスエリアや道の駅など……公のトイレに流すのはマナー違反です。RVパークやキャンプ場では稀に「ダンプステーション(汚水処理施設)」と呼ばれる汚水桝が備わっていることもありますが、まだまだ数は多くありません。
結局ギャレーは必要?
人によって違いの出るところですが……「あんまり必要ないかも」というのが筆者の正直な所感です。大型キャンパーの大きなギャレーなら、使い勝手も良く気兼ねなく使えるのですが、軽キャンパーの小さなシンクだとどうも……。
キャンプ場に行けば普通に大きな「炊事場」がありますし、車中泊旅なら外食やスーパーのお惣菜も多いので、車内で調理と洗い物をする機会ってそんなにありません。お皿やクッカーなどの油汚れも、ビニールに入れて持ち帰って、自宅のお湯で洗った方が早いです。
「洗い物に使わない」となると、給水タンクはともかく、排水のグレータンクはほとんど使わないという結果になります。一週間にわたる車中泊旅でも1リットルも溜まらないので、グレータンクは小型のタンクに替えている人もいます。
これまで色々なオーナーさんの車やYouTubeを拝見してきたところ、筆者が感じたギャレーの有用性は、長〜い車中泊旅をしているような人で、外に出にくい豪雨時に、車内で歯磨きを済ませたいって時ぐらいにしかないかな〜って感じです(偏った意見かも)。
しかも口に入れる水は、どうしてもペットボトルの天然水などを選びたくなりますよね。給水タンクも綺麗にはしていますが、コーヒーを沸かす時には常備している2ℓのペットボトルの方に手を伸ばしたくなるのが正直なところです。
それでもギャレーは必要!?
いつもにも増して個人的な主観で自説を展開している気もしますが、それでもギャレーが活躍する場面もあります。一例としては「8ナンバーのためにどうせ外せないなら!」……という考えで逆にオプションを増やし、蛇口をシャワーホースに交換してもらったり……。
車外にまでホースを伸ばせるとなると、洗い物の幅が広がります。海釣りの人はロッドやリールを、キャンプの時は泥のついたペグなどを「ざぶ洗い」できるのがとても便利。その他、ワンちゃんの汚れた足を洗いたい時など……用途は♾です!
もちろんサーフィンやSUP、ダイビングなどで海に行く人にも電動のシャワーはとても便利! さらに35℃まで設定できる水槽用のサーモヒーターを組み合わせると最強!! 海から上がった後にお湯のシャワーが使えます! 電源が取れる軽キャンパーならではのメリットですね。
そして最後に防災用にも。別に軽キャンパーのギャレーじゃなくても良いのですが、ただのポリタンクに水を貯めて持ち出すより、給排水のできるギャレーは、断水時の心強〜い味方にちょっとだけ(?)なってくれます!