そもそも「薪(まき)」とは……!?
「焚き火」のお話が続きます。今回も焚き火を始めるための下準備になるのですが、「薪(まき)」の種類とその割り方について、お話します。初歩の初歩からご説明していこうと思いますので、お付き合いのほどお願いいたします。
……と、その前に! 「薪(まき)」と「炭(すみ)」が似て非なるものだということも、お話ししておいた方が良いでしょう。本当に初心者のうちは、混同してしまっているかもしれません。焚き火に使うのは「炭」ではなく「薪」の方です。
*薪
焚き火に使います。樹木を乾燥させて割った木片です。木そのものの茶色い色をしていて、たまに樹皮もついていたりします。火をつけると炎を上げてよく燃え、暖をとったり、眺めたりして楽しみます。
*炭
主に調理に使います。楢(ナラ)などの硬い木片を釜に入れて高温で燻し、炭化させたもの。色は真っ黒です。炎を上げて燃えるというより、ぼぉっと赤く光りながら遠赤外線を放出し、食材を美味しく焼き上げてくれます。
薪の種類も2つ……
そして薪の方も、大きくは2種類に分かれます。スギやヒノキなどの針葉樹を割った薪と、ナラやクヌギなどの広葉樹を割った薪です。大して変わらないようで、用途が(ちょっとだけ)異なります。
*針葉樹の薪
家の建材として使われるような、薄い茶色の(白に近い)断面をしています。木の筋(木目)が縦に入っていて、その目に合わせて薪割りをするとパッカーンと気持ちよく割れます。広葉樹より柔らかく、材質が粗い分、手にしてみると軽めです。
柔らかいだけに火も着きやすく、油分も含まれていて燃えやすいのですが、反面すぐに燃え尽きてしまいます。針葉樹だけで何時間も焚き火をやろうとすると、何束も消費してしまうことになり不経済です。
*広葉樹の薪
元となる樹木の種類が多いので(リンゴやサクラやミカンの木なども)一概には言えませんが、針葉樹と比べると色が濃く、薄い木目が細かく入り、材質がぎゅっと詰まった感じがします。持ってみても、ずっしり重いものが多いです。
硬くて、薪割りをしようとすると苦労しますが、よく乾燥させたものは気持ちよく割れることも……。火も着きにくいのですが、一度燃え始めると美しい炎を長時間楽しめます。
薪割りスタート!
薪の入手の方法は、アウトドアショップやホームセンターなどで事前に買っていく方法と、現地のキャンプ場で購入する方法の2つがあります。キャンプ場での現地販売を期待する場合は、前もって在庫と値段を確認しておくと確実です。
薪の量は、初めての焚き火の場合「針葉樹ひと束」+「広葉樹ひと束」の2束ぐらいがちょうど良いでしょう。(束もいろいろな大きさがあるのですが、直径30cmくらいの太さが通常です)
薪割りの道具もいろいろあるのですが、独断と偏見で簡単な順に並べると…… 「キンドリングクラッカー」>「鉈(ナタ)」>「ナイフ(バトニング)」>「斧(オノ)」になるかと思います。
ただ一番簡単なキンドリングクラッカーは、置いてあるキャンプ場も少なく、購入する人もめったにいないので特殊と言えるでしょう。準じて編集部がオススメする薪割り道具は、ずばり「鉈(ナタ)」になります!
割り方はよくあるイメージのように、大きく振りかぶって「パッカーン!」とやるのではありません。もっと小刻みに刃を少しずつ入れていき、途中から刃の厚みで裂けるようなイメージです。
具体的には利き手で柄を持ち、反対の手で薪を持ちます。木目に刃をあてて薪ごと小刻みに「カッカッカッ」と打ちつけると、刃が少しめり込みます。そうすれば薪から手を離しても持ち上がるので、柄だけを握って裂けるまで打つべし! 打つべし!!
あるいはナイフでよくやる「バトニング」という方法にも、鉈は応用できます。こちらはもっと簡単で、木目にあてた刃の背を「カッカッカッ」と、他の薪で叩いて裂くだけ。重くて太めの広葉樹の薪で叩くと良いでしょう。
薪割りの量は?
*細い針葉樹の薪を10数本
焚き火の開始時に、火起こし用に使います。針葉樹の薪を1cm角くらいに割ったものを10数本用意すれば十分でしょう。足りなければ火起こしの途中に割って追加もできます。
*残りの針葉樹はそのままで
販売されている薪はもともと平均3〜5cm角ぐらいでしようか? それはそのまま焚き火の中盤で使います。
*広葉樹は大きすぎれば割って
焚き火の中盤から終盤にかけてゆっくり燃やすのが広葉樹です。売っている薪は、大きさがまちまち。5〜8cm角が理想なのですが、中には10数 cm角ぐらいのものや、丸太のままのものも……。
ご覧のように薪を割り分けたところで、今回の「薪の準備編」は終了。次は「焚き火台」について、様々な種類を紹介していきます。久々にギアの購入を検討する記事ですね!