下町からのロケット?
よくSNSなどで、ネット注文した品物が届くと「○○着弾っ!!」と報告される方がいらっしゃいますが、このたび編集部にも大型爆弾が着弾しました! しかも2弾!! その名も「TETSUJIN-1号」と「TETSUJIN-2号」。両方とも超重量を持つメガトン級です!
お送りくださったのは「株式会社AS'TY(アスティ)」さん。東京江戸川区の「石道鋼板株式会社」さんにご協力を願い、昔ながらのガス切断の職人技にこだわりました。もうすぐ(7/22から)クラウドファンディングを始められる予定で、その使用感の検証を編集部に依頼されたのです。なんだか阿部寛さんの「下町ロケット」みたいですね。ロケット着弾です!
鐡人のスペック
実際に届いた2枚は、もう宅急便屋さんの様子からして尋常ではありませんでした。箱は小さいのに重〜い!! 受け取る際に「気をつけてください!」「気をつけてください!」と何度も言われました。手に持ってみると……確かにず〜っしり!!
中を開けて出て来たのは極悪の……いえ、極厚の鉄板。ソフトケースに守られているとはいえ、厚さ12mm、重量3kg。ちょっとでも指を挟んだら痛い思いをしそうな、もう凶器にしか見えないシロモノ。
お肉が美味しく焼けるということで、極厚鉄板ブームを牽引した「ヨコザワテッパン」でさえ、その厚さは約5mmでした。当時はそのゴツさに驚いたものでしたが、今回はその倍以上の12mm! これが「2号」です。
しかも次にはさらに厚く、さらに重い、横綱級が控えていました。「1号」です。その厚さ、なんと19mm! 重量は5kg!! 凶器を超えてもう鈍器。コレ、実際に持ってもらわないと伝わらないと思いますが……驚きを超えてもう、笑っちゃうしかありません。
実験の前に……
こんなとんでもないものを、あくまでも「女子向けメディア」である『なちゅガール』に送りつけてくる方もどうかと思いますが、編集部の方だって「どうかしている」のは、読者の方ならもうご存知の通り。レビューへの闘志が高まってまいりました!
さっそくステーキ用のお肉を2つ買って実験です! ハンバーグもちょっと考えたのですが、やはり鉄板の性能を見るためにはビーフのステーキ! 昭和の言い方だと「ビフテキ」に限ります!! 「米国産アンガス牛(218円/100g)」と「国産みなもと牛(598円/100g)」を用意しました。
と、その前にちょっと気になっていた実験をもう一つ。なちゅガールズメンバーにも愛用者の多いSOTOの「ST-310」。その細い脚の上に載せてみました。結果は写真の通り。5kgの「鐡JIN-1号」でもしっかり……その重さゆえに、逆に安定しているようです。推奨はできませんが……。
① ST-310で「鐡JIN-2号」
敢えてSOTOのバーナーで、2号を熱してみました。油を挽いて、煙の発生具合で温度を計ります。さすが、ぶ厚いだけあって熱くなるのには時間がかかりますね。それでも5分も経たずにジュ〜ジュ〜音を発するようになり、焼き始める準備が整いました。
*国産みなもと牛
厚さ1cmほどの霜降りのサーロイン。焼き始めるとすぐに表面がカリッと焼けて、裏返すことに。裏面もすぐに焼きあがり、ミディアムレア状態でお口へ……。うん。美味しいです。何も言うことはありません。これを判定の基準にしたいと思います。
*米国産アンガス牛
こちらは厚さが3cmほどの赤身の多いお肉です。肉自体がぶ厚いので、同じミディアムレアに焼くまでには時間がかかります。ですが口に運んでみると、これがすっごく美味しい〜!! びっくりです。さっきの「国産霜降り」より美味しいくらい。値段は1/2以下なのに……。
②焚き火で「鐡JIN-1号」
「19mmの厚み」で「5kgの重量」という鉄のかたまりを熱するために、ごうごうと燃える焚き火の炎にかけてみました。網の上に載せるだけでも重くて危ないのですが、その網も重量でだいぶ歪んでいます。
*国産みなもと牛
すぐに焼けて、すぐに食べられました。美味しいです。でも味はさっきとあまり違いはありません。
*米国産アンガス牛
違いが出たのはこちらです。表面がすぐにカリっと焼けただけではなく、断面を見ても火が通るのが早いんです。推測するにこれは「肉の体積」vs「鉄の体積」の戦いで、鉄板が負けてないということではないでしょうか? エントロピー? あるいは輻射熱のパワー?
③焚き火でフライパン
「ステーキに極厚鉄板」が良いとされる理由は、肉を置いても奪われる熱が少ないからです。その点、このテフロンの剥げかかった薄いフライパンは圧倒的に不利。お肉を置いた瞬間に冷えてしまいます。せめてもの親心で、焚き火の強い炎にかけてあげました。
*国産みなもと牛
焼くのに時間がかかります。表面がちょうど良くなっても、中が生のままだし、中まで火を通すと表面が焦げてしまいます。肉の美味しさでカバーは出来ていますが、ホットプレートで焼いたような感じかなぁ……。
*米国産アンガス牛
これはダメです。最後まで焼けません。バルキーなお肉に熱を奪われたフライパンは、ジュ〜っという音さえ出してくれません。焚き火が仇になったのかも。ガスの方がマシだったかもしれません。もったいないので「1号くん」で焼き直して食べることにしました。
総評〜
最初は正直に言って「おもしろグッズ」のようにバカにしていたところもあったのですが、これは明確な性能差を見せつけられました。特に衝撃的だったのが「国産牛」よりも「輸入牛肉」の方が美味しく感じられたこと!!
表面がカリっとしていても、中が「クニッ」と柔らかい霜降り牛の甘さよりも、香ばしく表面が仕上がり、肉汁とともにワイルドな「牛」の風味が口内に広がる安いお肉の方が、戸外では美味しいんです! 荒野を行く開拓者の食事が脳裏に浮かびました〜(大げさではなく、本当に!)
お肉の質にもよるのでしょうが、今回は実際、評者3人のうち3人ともが、輸入肉の方に「美味しい!」の軍配をあげました。 お家で食べるスキヤキやしゃぶしゃぶなら、A5ランクの霜降り和牛の方が良いのでしょうが、キャンプなら断然こっち! また食べたい!! これは驚きでした!!!
はっきり言って、あまりにも偏っている鉄板なので、デメリットも沢山あります。重いし、熱しにくいし、冷めにくい(しばらく放置しないと、持って帰れません)。そしてなんだか危ない気がする! 実際にケガをした訳ではありませんが、何かの拍子でケガをしそうな緊張感があります!
でも、お肉は確実に美味しく焼けます!「2号」よりは僅差で「1号」が上ですが、フライパンと比べると歴然とした差があります。これはもう女子が買うにしても「1号」一択! 愛情をたっぷりかけて育てていく甲斐もありますし、何よりウケます! ネタになります!!
(株)AS'TY インスタグラム : https://www.instagram.com/asty_japan/