今さら「ダウン」の話ですが
さて、暖かいキャンプを追求する第3回は、王道の「ダウン」についてお話しします。ベテランさんにとっては「知ってるよ」「あたりまえ」の事かもしりませんが、「読者は意外と基本的な情報を欲している」とは編集長の言。
その「基本」というのは「インナーダウン」の実力です。「手放せない!」って人も多いのですが、なちゅガールメンバーでも使っている人と、使わない人に分かれますね。今回はその利点をキャンパー視点から、ちょっとだけ科学してみます。
ダウンの効用
暖を保つには、輻射熱を閉じ込める方法と、空気の層を確保する方法の2つがあります。輻射熱にはNASA開発みたいな銀シートを用います(写真のように布の中でも効果アリ)が、ダウンの効用はもちろん後者になります。
これは、空気の熱伝導率の低さを利用したものです。例えばサウナでは90℃の室温でも我慢できるのに対して、熱湯となると同じ90℃ですぐに火傷です。逆にプールや海水温の25℃では体が冷えちゃうのに対して、気温なら「快適温度」だとされています。
分子が「密」な液体の場合、体表に触れる分子が多くなるので、熱いものはより熱く、冷たいものはより冷たく感じられます。分子が「疎」な空気の場合はその逆になるので、空気の層が厚いほど、快適に感じられる温度の幅が広がるのです。
ダウンの元となる水鳥も、毛皮びっしりの野生動物も、この原理を利用して体表近くに空気の層を確保しています。ですから、その貴重なダウンを頂戴している我々人間にとっては、重ね着の順番がキモになってくるのです。
ダウン重ね着のコツ
「ダウンジャケット」というと、重ね着の一番上に着るイメージが強いものですが、「ダウンは肌着の上に直接」……という見解も散見されます。以前「THE NORTH FACE」の担当さんによるコメントも目にしたこともあります。
そんな時こそインナーダウン! 今や「ユニクロ」でも「しまむら」でも定番になっていますし、アウトドアメーカーからも多種リリースされています!! 名前の通り「アウター」ではなく「インナー」なのですから、ロンTなどの上に直接着ちゃいましょう!
筆者もこれまでは、ネルシャツやトレーナーの上に着ていました。その上にジャケットなども羽織るので、これが「インナー」だろうと決め付けて……。でもさらにその下に着てみたら、これが「暖か〜い」んです!!
キャンプで活用!!
実はこれこそが「冬キャンプを暖かく③」……今回の記事でキャンパーの皆さんにお伝えしたかったことです。なんなら「地肌に直接」までをもオススメしている識者さんもいらっしゃいます。
もちろん最初は違和感を感じるでしょう。ナイロンの生地が肌にペタペタ張り付いて「気持ち悪い」と思う方もいらっしゃるでしょう。少なくとも着る瞬間は、ナイロンが地肌に「冷やっ」とします。
でもアウトドア、冬キャンプの場合は「背に腹は変えられない」状況もあります。夜の寒さや、明け方の冷え込みなど……注意喚起記事『冬キャンプの危険』でもお伝えしている通り。「常に地肌に」とまでは言いませんが、イザという時のために知っておいて下さい。
幸いインナーダウンには小さくまとまるコンプレッションバッグが付いてきます。荷物にならない上に、寒ければ下に、暑ければ上に着るなど、微調整も可能です。これを機会にぜひ導入を検討してみてください!
最後に基本事項
まずダウンの性能は「フィルパワー(FP)」という単位と、羽毛の「種類」と「量」で決まります。「フィルパワー」というのは30gのダウンが「どのくらい膨らむか?」を表した指標で、400FPより800FPや1000FPの方が高品質となります。
そしてタグに「ダウン80%・フェザー20%」などと表記されている羽毛の種類は「ラージフェザー」「スモールフェザー」「ダウン」の順で暖かくなります。ダウンがいっぱい入っている方が暖かいということですね。
記事では「地肌に直接」を推奨したダウンですが、湿度は大敵。汗などの水分で湿ってしまうと、保温機能が損なわれてしまいます。事あるごとに陰日干しして、カラっとフワッとした状態を保ちましょう。