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トピック
倒木に気をつけよう!
『枯損木点検講習会』

枯損木点検講習会

先日、相模原市内のキャンプ場で起きた痛ましい事故を受けて、多くの人に安心してキャンプを楽しんでもらえるように、GW前の4月26日に市内のキャンプ場管理者を対象とした『安全なレジャー環境の整備に向けた市内キャンプ場枯損木点検講習会』が開催されました。

大手メディアさんの取材が並ぶ中、今回はメディア「なちゅガール」としてキャンプをする立場で取材させていただきました。

利用者としてはキャンプ場さん側にの安全管理を一層お願いしたい気持ちもあると思いますが、それだけではなくいちキャンパーとして気をつけられる部分もあると思うので、その内容を読者の皆さんにも共有します。

講師は、相模原市立博物館の生物担当学芸員さん。樹木も専門とのことで、特に相模原地域で見られる樹木の状態について解説していただきました。

まずスライドにあった「倒伏」とは木が倒れること。そしてよく聞く「倒木」とは木が倒れている状態のことをいうそうで、今回は「倒伏の前兆をとらえるには」というタイトルとなっているそうです。




まず見るべきポイントは3つ

・葉っぱ
「葉が茂っている健全な樹木は倒れない!」とのこと。この新緑の季節に葉が青々と茂っている木は、激甚災害レベルの自然災害でもないかぎり倒れることはなく、逆に葉がついていない木については危険信号だと思って間違いないそうです。

さらに梅雨明けの頃、葉っぱが茶色くなっているブナ科の木は「ナラ枯れ病」で枯死している可能性が高いとのことで、他の木と見比べて葉の状態がどうかを観察する必要がありそうです。

・枝
大きな枝が折れて落ちかけていないかをチェックしましょう。折れた断面が白っぽい木は落ちたばかりなので要注意!とのこと。

他にも枝がホウキのようにバサバサと妙に密集している木は「テング巣病」という伝染病にかかって木が弱っている可能性が高く、注意が必要だそうです。

・樹幹(木の幹の部分)
ガサガサとフジツボのように樹皮がささくれだっていたり、虫食いの穴が空いている木、木肌が露出してしまっているものも注意が必要。他にもサルノコシカケが生えていたり、ツル植物がぐるぐると生い茂っているものも枯死している可能性が高いのだとか。共生を見かけたら注意が必要なのかも?

よく「苔が生えている木は危ない」というけれど、じめっとした気候の山間地域において多少の苔は生えるものなので、「びっしりと苔が生えている木」と覚えておいたほうがいいそうです。

・根っこ?
講習会を通して根っこの話は出ませんでしたが、根が盛り上がっている樹木も「水の供給過多」や「踏み固められた地面」によって窒息している可能性があるという記述もネット上では散見されたので、見るべきポイントかもしれません




相模原市域で注目するべき危険木

枯死する木は色々あるけれど、相模原市域では圧倒的にこの二種の枯死が多いそうです。相模原市から山梨県道志村にかけては20以上のキャンプ場があり、大体が似た植生なので気をつけて観察してみてください。

・コナラ(ブナ科のミズナラ、シラカシ、マテバシイなど)
・ミズキ

コナラはカシノナガキクイムシが媒介するナラ枯れ病(甲虫が樹幹内に孔を掘って入り、その虫が媒介して感染する病気)で、古木がたくさん枯死しているそう。特徴としては4つ挙げられます。

 ・木くずが幹にこびり付いたり、根元に降り積もっている
 ・樹幹をよく見ると2mm前後の穴がたくさん開いている
 ・木の防御反応で樹液がたくさん出ているもの
 ・梅雨明けの頃に葉っぱが一気に茶色く枯れてしまったもの

どんぐりのなる木なのでキャンプ場でも見かけることが多い木! 上から下までしっかり観察してみましょう。

ミズキはここ8年ほど大発生したミズキを専門に食べるキアシドクガという蛾による食害がひどく、度重なる被害によって樹勢が弱まり枯死しているそう。枯死のポイントは多くの木と同じように樹幹と葉っぱに出るそうです。




いちキャンパーとして気をつけたいこと

ハンモック泊の時にハンモックを下げても大丈夫かな?と考える程度で、テントや車中泊の時に近くに生えている木が倒伏しそうか、枝が落ちてくるかも?と深く考えて設営している人は少なかったのでは、と考えています。

でもたとえ木の名前や植生に詳しくなくても、実際にフィールドで観察することで素人目にわかることもたくさんあったので、知っているのと知らないのでは大きく差があるなと感じました。

参加しているキャンプ場の方にお話伺うと、年一回業者さんに入って点検してもらっているキャンプ場もありました。しかしそういった従事者が少なくなっている……という現状もあるそうなので、一人一人ができる範囲で心掛けることが大切かもしれません。

最後に気になるハンモックについても質問しましたが、「健康な樹木に人間程度の荷重がぶら下がったところでなんともないですよ」と、回答をいただきました。木の状態をしっかり見極めた上で、バンド状のツリーストラップやツリープロテクターを使って樹皮を傷つけないようにする配慮があると良さそうです。

今回起きた事故は「まさか」や「稀なこと」としてキャンパーさんたちの間でも大きな衝撃があったかと思います。しかし日本は山や林ですら高齢化と言われ、戦後すぐに植えられた樹齢70年近い老木が、活用されたり伐採されたりすることなく、そのままたくさん植えられているのが現状です。

昔からあるキャンプ場にも、キャンプブームでオープンしたてのキャンプ場にも、こういった老木がないとは言い切れません。もちろん管理問題もありますが、一人一人が少し心掛けることでキャンプ場を取り巻く自然環境にも意識が向き、みんながより楽しく安全なアウトドアライフを楽しめるようになればいいなと思っています。

ちょっと気になる木があったら管理人さんにお話してみる……何気ない一言で未来が変わるかもしれませんよ!










Author
森風美
年間80泊するほどキャンプを愛し、女性でも楽しめるキャンプスタイルを発信しているキャンプ女子の森風美です。 幼少の頃からアウトドア好きな家族の影響で、キャンパーとして育ち、キャンプ歴は年齢=27年。