まだまだ海へ出撃!!
第3回です。秋の3連休も残すところあと2回? スポーツの日と文化の日絡みだけになりました。気温と水温の方も、水着だけだと10月までがギリギリいっぱいかな。急に秋めいて、過ごしやすくなりましたね。
海の水温は1〜2ヶ月遅れと言われ、まだそれほど下がってはいないのですが、問題は水から上がってからの気温です。さすがに1時間もスノーケルしていると体が冷えてきますので、陸に上がって温まる必要があります。
この時に太陽の有無は重要な要素。ピーカンの青空と、曇天の灰色の空とでは大違い。海に出かける前には天気予報をよくチェックして、お日様が顔をのぞかせてくれるかどうかで判断しましょう。
お魚を採ろう!!
ただ前回の「②水中撮影編」で海ライフにハマった人ならば、すでにウェットスーツを購入しているかもしれません。浮力があって溺れにくい上、岩場などから肌を守ってもくれる頼もしい存在。11月になって海に出撃しても、寒くはありません。
そして水中撮影によって、お魚や海の生き物に詳しくなってきたら、次のレベルにステップアップ!! 写真におさめるだけでは物足りなくなって、採りたくなってはきませんか? 「とったどー!!」したくはありませんか?
でも「よゐこ」の濱口優さんのように、銛(モリ)で突くのはご法度です。魚突きはほとんどの都道府県の条例で禁止されているのです。サザエやアワビや伊勢エビなどになると……密漁になってしまいます。
ターゲットは採っても怒られないお魚、食べられないお魚にしておきましょう。つまり観賞用・飼育用のお魚です。具体的にはチョウチョウウオの赤ちゃん。長いので縮めて呼ぶところの「豆チョウ」ちゃんです。
死滅回遊魚・季節来遊魚
ただこの「豆チョウ」という呼び名は、採集家の間でもごく一部でしか使われません。正式には「死滅回遊魚」とか「季節来遊魚」などと呼ばれます。その生い立ちに由来する名称です。
カラフルな色彩から分かる通り、チョウチョウウオは南の魚、熱帯魚になります。本来ならば沖縄などにいる魚です。なぜそれが関東の磯や漁港で採れるのか? ……それは「台風」と「黒潮」の影響によるものです。
毎年、沖縄で産み堕とされたチョウチョウウオの卵は、台風のシーズンになるとその一部が外洋に流されてしまいます。その大半は広い海の真ん中で孵(かえ)ってしまい、育つことができないのですが、ラッキーなコは黒潮に乗って北上します。
紀伊半島や伊豆半島、三浦半島や房総半島、岸の近くで孵れば、エサとなるプランクトンも豊富。それを食べて成長、大きくなることもできます。……と言ってもせいぜい1円玉や10円玉程度の大きさですが。
南のお魚なので、真冬に水温が下がれば生きられません。季節になると遊びに来て、冬になると死んでしまうので「死滅回遊魚」、または「季節来遊魚」です。たま〜に冬を越せるコもいますが、死んでしまう前に掬ってお家に持って帰るのがこの遊びです。
豆チョウ採集
ですから使う道具は銛(モリ)ではなく網(アミ)。できれば2本、両手に持って挟みこむようにネットイン!……と書くと簡単そうですが、これがとんでもなく難しい! 小っちゃいクセにロケットのようにすばしっこいんです!!
こちらとしては、冬になると水温が下がって死んでしまう豆チョウちゃんを掬ってあげよう、救ってあげようという魂胆なのですが、赤ちゃんたちはそんな親心も知らず、ピューッと逃げてしまいます。
最初のうちはぜんぜん採れないかもしれません。海まで遠征しても、空手(からて)で帰路につくなんてとこともままあります。採り方のコツもあると言えばあるんですが、書き始めればキリがないので3点だけ……。
① 細いネットの網を使う(水の抵抗を下げるため)
② 穴に追い込んだらアミをかぶせて、追い出し棒でGET!
③ 垂直の壁(護岸)などでは下から水面に追いやるとラク!!
海沼にハマろう!
それでも最初の1匹が採れるまでには相当苦労するものです。あんなに速いのが捕まるハズないよ……と弱気になったりするかもしれません。ですが、そのぶん本当に採れちゃった時には喜びもひとしお!!
偶然? 幸運? 奇跡? ……と、なぜ採れたのかも分析できないまま豆チョウちゃんが網に入っている。初めての1匹はそんな経験になるでしょう。でも苦労したぶん、本当に可愛くて可愛くて、愛しく思えてきます。
この喜びを知ってしまうと、もうこの趣味から抜け出せなくなってしまいます。「キャンプ沼」にも勝るとも劣らない「海沼」です! 海なのか、沼なのか、良くわからない造語ではありますが……。