3年越しの挑戦状!!
「ダコタ・ファイヤーホール」あるいは「ダコタ・ファイヤーピット」……知っている人は知っているけど、おそらく知らない人の方が多い「焚き火」スタイル。3年前に編集長の森風美は、これでテレビ東京の「TVチャンピオン」に挑戦しました。
結果は「TBハンマー」の記事でお世話になった岩手「ベアー・ベル」の日角さんが優勝だったのですが、それ以来、なかなか省みることができずに月日が流れてしまいました。だって「直火OK」のキャンプ場ですら珍しいのに……穴を掘らせて貰える場所なんか……。
長年、気にしつつも「アトランティスの謎」以上に謎が膨らんでしまったダコタ・ファイヤーホール。今回それを検証できる場所が見つかりましたので、3年越しでチャレンジができるようになりました! メートルあげて行きますよ! 課長っオーンっ!!
ダコタ・ファイヤーホールとは?
簡単に説明すると「地面に2つの穴を掘って、効率よく薪を燃焼させる」焚き火スタイルです。具体的には絵の方をご覧ください。薪を燃やす竃(かまど)となる穴と、空気を通す穴を掘るだけの簡単な構造です。
これは、北米の先住民である「ダコタ族」が使っていた技法で、英語のwikiによると「この竃のスタイルはダコタ族からその名を付けられたと言われている。アメリカの植民地時代、グレートプレーンズでバイソンの群れを狩る際に使用され、その地に特有の強風を防ぐだけでなく、原野に延焼して火事を起こす危険も低減させた」と説明されています。
日本のサイトでは「ロケットストーブの原型となった」とか「煙突効果による燃焼効果」とか「煙が少なく薪も少なくて済む」などと説明されています。これが開発部の誤解の元にもなったのですが、それについては検証結果の後に詳述します。
それではやってみよう!
まずは何の変哲も無いこんな地面に穴を掘ります。冬草が枯れて掘りにくそうでしたが、土も柔らかく簡単に掘ることができました。穴は大きい(薪を入れる)方が直径50cmくらい、小さい(空気が通る)方が30cmくらいです。深さはスペランカーでも安心な50cmくらい。
周囲は開けていて、万一火事になるような建物も木もないのですが、枯れ草はどけておきました。皆さんも試される際は消火用のバケツをご用意ください。最後に小さなスコップで2つの穴をつなぐトンネルも掘ります。
薪を入れて「文化焚き付け」で着火。最初はみるみる燃えていきますが、すぐに火の勢いが弱くなってしまいました。肝心の「空気の対流」は観察されず、どうにも「煙突効果」とか「二次燃焼」なんて感じがしません。
仕方がないのでトングで、火の弱まっていた薪をすべて小さい方の穴に移動してみました。そうしたら復活!! 普通の焚き火台とは明らかに違い、空気がぼうぼうと音を立て、炎が生き物のように自ら燃えているような感じになりました。
けど、ちょっと待ってください。空気は画像の水色の矢印の方向に流れているようです。これって逆なんだと思っていました。調子に乗って穴を大きくしてはいけないことは分かりましたが、空気の流れがこれじゃあ……実験は失敗に終わったのでしょうか?
そして伝説へ
実験前からなんとなく、空気は「炎の方から吸い込まれて、空気穴の方から出て行く」ものだと思い込んでいました。薪ストーブの煙突のように。だって煙突効果でしょ? ロケットストーブだってそういう仕組みになっているじゃないですか?
でも帰ってから複数のサイトで調べたところ、「空気穴から入って炎に酸素が供給される」……つまり矢印の方向で正解だったようなんです。うーん、そうすると実験は成功だったということになりますね。良かった。良かった。
じゃなくて!! すると「煙突効果」とか「二次燃焼」とかって起きていたのかな? 写真からお分かりになる通り、だいぶ湿って冷たい土だったのですが「ヒートライザー」とか「ドラフト効果」とかも、目で見ている限りでは確認できなかったんですよね。
熱や空気は見えませんから、謎がもう「コンボイの謎」以上にクリア不可能になってしまいました。「煙突効果」とか「二次燃焼」とかって「伝説」だったのかな? 英語のwiki通り、ただよく燃えて、安全だというだけのシロモノなのかな? 編集部の浅学な知識ではもう限界です。どなたか教えていただけないでしょうか? 課長を助けるイノコMAXさんのように……。