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女子キャンプ講座*07
『災害とキャンプ②避難編』

避難について考えましょう

前回の「①備え編」に続いて「②避難編」をお届けします。キャンパー視点からの防災講座。実を申しますと、なちゅガール編集部はみんな関東在住、関東育ち。これまでの人生で大きな災害に見舞われたことはありません。

従って実際の避難生活を体験したことはありません

でも東北大震災以来、キャンプと防災の親和性は急速に認知されるようになりました。大規模アウトドアイベントでは必ず、防災に関連したブースが立ち上げられますし、各自治体でも防災とキャンプを組み合わせた催し物が開催されています。

しかし以外と落とし穴なのが、肝心の「避難の仕方」です。キャンプの知識や道具を使って避難生活を送る方法ばかりが語られて、その前段階となるの避難の仕方そのものが見逃されているように感じます。

前回同様、他ではあまり触れられない実践的なお話を心掛けます



「自主避難所」と「指定避難所」

こちらをお読みのベテランキャンパーさんの中には、災害時のサバイバルに自信のある方もいらっしゃるでしょう。公共団体や他人の力を借りずに、自分だけで避難生活を送る自信がある方が。

そうすると「自主避難」となるように思えますが……

防災用語における「自主避難」というのは、「自分で避難する」という意味とは異なります。この場合の「自主」とは、避難指示などが出る前に自主的に避難するという意味になります。実際の避難所も以下のように分別されます。

*自主避難所
危険が高まってきたら避難指示が発令される前に、自主的に避難をする場所。公民館やコミュニティスペースが指定されることが多い。基本、食料や水は支給されないので持参しなければならない一時的な避難所。

*指定(緊急)避難所
学校などの体育館が指定されることが多く、ニュース映像などでもよく目にする避難所。避難指示などが発令されたら、まずここへ避難。毛布や食料も支給されることが多い(もちろん必ずではない)。ある程度長期の避難生活も想定されている。

ちなみに[避難勧告]<[避難指示]<[避難命令]の順で強くなります



一次避難

それでは「自分の力で避難する」という行為は何と呼ばれるかというと、一般的には「在宅避難」にあたります。ただ、まだ焦らないでください。キャンプの知識と道具を活用するのは後回しにして、まずは「命の安全」を最優先にさせましょう。

災害が発生してすぐはとにかく「一次避難」です!!

電気やガスを止め、ドアを開けたり閉めたりして(後述します)、貴重品や防災グッズだけを持って避難しましょう。この時点からキャンプ道具を持ち出す余裕はありません。まずは「命」の確保が大切です。

指定された避難所に着いたら、点呼や名簿作成などが始まります

キャンプの腕に自信があっても勝手な行動は取らず、出された指示に従いましょう。余力があるなら、お手伝いにも回りましょう。一人での避難が困難な「避難行動要支援者」と呼ばれる方もいらっしゃいます。

※ドアの開閉は……火災の時は酸素を供給しないように閉めるのが基本。地震や水害時は経路のために開けておくのが基本となります。ただし、濡らしたくないものが中にある部屋は閉める。水圧で建物自体のダメージが懸念される時には開けるなど……個別の判断が必要になります。




二次避難

一次と二次とで法律上の区分はないのですが、「安全の確保」を目的とするのが一次避難。「生活の確保」をするのが二次避難になります。余震がおさまるまで、24時間が経過するまで……と、その期間も厳密に規定されてはいません。

災害に決まったパターンはなく、規模も度合いも都度異なります

キャンプのスキルが本領を発揮するのも、この「生活の確保」を目的とした二次避難以降になります。ここでも避難所の方々との相談を密にして、せっかくのスキルが無駄にならないように配慮しましょう。

能登半島の地震の際にも報道された通り、二次避難場所としてホテルや仮設住宅が提供されることもあります。しかしそういった場所は、もちろん高齢者や乳幼児を抱えた方など……「災害時要配慮者」が優先です。

一方で「在宅避難」に移ることのメリットは、プライベートが確保される安心感と家財道具やキャンプ道具が身近にある便利さです。建物倒壊の恐れがないかを相談したあと、自宅の庭などにテントを張り始めるのはここからです。

その場所が安全かどうかも十分に確かめてください



実際の状況は予測不能

ここまでだいぶ理路整然と書いてきてしまった気がします。でも実際の災害時には何が起きるか、どうなるかは分かりません。理路整然とは行かないのが災害です。人口に対して避難場所が十分に確保されていない自治体も多く報告されています。

首都直下や南海トラフでは深刻な事態が予測されています

その一例として、2016年の熊本地震では、スポーツ公園のグラウンドが解放されて、たくさんのテントが並ぶ仮設避難所に転用されました。このように、被害状況や与えられた環境を見極めて、柔軟に対応することが求められます。

そうなると、あなたのキャンプ道具とスキルに上限はありません。何がどこで役にたつかは予測不能です。できれば周囲の人に教えてあげたり、貸してあげたり……人の役にたつところにまで繋げたいものですね。

それがなちゅガールの目指す理想のキャンパー精神です!!










Author
なちゅガール編集部
アウトドアの楽しさをお伝えしたくて、日々おもしろいことを探しています。皆様からの情報提供もメールでお待ちしています!! また記事につきましては正確を期しておりますが、最新の情報や価格については都度お調べください。