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コラム
はななのフィッシュ日和*46
『ちっちゃいものクラブ』

海に潜れない!?

今年の夏休みは「ぼんぼん鮫最中」と「大学受験」とで忙しく、遊びに行くことができませんでした。せっかく海の近く、神奈川県の真鶴町に引っ越して来たというのに、スノーケルで海に潜ることさえ出来ません。

それならせめてお手軽な岸壁採集だけでも……

「岸壁採集」というのは海に潜らずに、漁港などの堤防の上から魚を採る手法です。ウェットスーツもフィンもマスクも要りませんが、海の中から採るよりも制限が多く、魚を発見することも、網に入れることも難しくなります。


しかし私にはこの本の著者「鈴木香里武」さんから直々に伝授して頂いた秘密兵器があります。春休みに行った香里武さん主催のセブ島旅行、夜の幼魚採集で教えてもらった「集魚灯」です!!

夜の幼魚採集(inセブ島)の様子もこちらの記事からお読みください!



集魚灯

しょうがないなぁ、のび太くんは♪チャララランはい「集魚灯〜」

唐突すぎましたが、「○○灯」ってドラえもんのひみつ道具のような語感がありませんか? 私だけ? ……とにかく値段も性能もピンキリある集魚灯の中から、そこそこの物をネットで注文してみました。

届いたのはドングリ型のかわいいヤツ。漁師さんではないのですから、個人の採集用としてはこれで十分。あとは以下に列挙するような採集道具を用意して、暗くなったら近くの真鶴漁港へGO!!


*準備するもの
・集魚灯(充電式か乾電池式がおすすめ!)
・柄杓(ひしゃく。小さい幼魚は網目から逃げてしまうため)
・ヘッドライト(漁港にあるロープや係船柱などにひっからないように)
・虫除けスプレー/虫刺され薬(海辺にはヌカカがいるので注意!)
・持ち帰り用の容器とエアレーション(通称「ぶくぶく」)
・「ぜったいに海に落ちないぞ」という心構え

私が狙うのはもちろんチョウチョウウオの赤ちゃん、豆チョウちゃん! いつも網で掬っているのは1円玉や10円玉サイズ。でも、集魚灯で採れるのはもっと小さい数ミリの極小サイズだと言います。

孵化したての幼魚は「トリクチス幼生」と呼ばれます

頭の周辺の骨が板状に発達していて、まるで固いヘルメットを被ったよう。外敵に食べられてもこのヘルメットのおかげで吐き出されてしまうんだとか……。でも私には採集されちゃいますよ〜!!




夜の採集

集魚灯を使った採集は禁止されている漁港も多いため、事前に漁業組合などに確認を取っておきます。私は真鶴漁港でOKを頂きましたが、念のため、皆さんも個人的に許可を得てくださいね。

集魚灯を海中に入れると最初は小さなプランクトンが集まってきます。走光性と呼ばれる性質です。次にそれを捕食する極小のエビやタコ、透明な魚、ニョロニョロ動く謎の生物やクラゲなどが集まってきます。

10分もしないうちに集魚灯で光る海がとても賑やかに!!

アイゴの幼魚、カサゴの幼魚、カゴガキダイの幼魚など、普段は目にすることのできない幼魚が柄杓(ひしゃく)で簡単に救えます。でもチョウチョウウオのトリクチス幼生は現れませんでした。時期が早かったのかな?

私が一番気になったのがこの生き物! なんだと思いますか?

正解はショウジンガニのメガロパ幼生。メガロパとはカニが浮遊生活を終えて底生生活に移るまでの形態。特にショウジンガニは足を折り曲げて、腹節と呼ばれるエビのような腹部を器用に動かして泳ぎます。

足が体から急に生えているように見えるので驚いちゃいます



アイゴ

ビューンとすごい勢いで泳ぐ魚を発見したので掬ってみると、まだ体が透明なアイゴの赤ちゃんでした。毒のある背びれの棘には注意です。刺されると激しい痛みを伴うため、釣り人からは「バリ」と呼ばれて敬遠されています。

草食性の魚で、アマモ(海草の一種)を食べてしまう厄介者としても知られています。温暖化によりその数が増え、アマモ場を食べ尽くしてしまう「磯焼け」も、深刻な環境問題になっています。

真鶴の藻場もアイゴによって食べ尽くされてしまったそうです



AMAYA−海女屋–

「東洋のリヴィエラ」とも呼ばれる真鶴町は、漁港を囲むようにすり鉢状の街並みが広がっています。夜になると家々の灯りが水面を照らし、幻想的な風景が浮かび上がります。集魚灯で採集する場所はそんな漁港の一角。

そしてそのすぐ後ろにあるのが「AMAYA−海女屋–」さんです

このお店から流れてくるBGMを聴きながらいつも採集をしています。もちろんご飯もとても美味しくて、オススメなのは蒸気鍋コース! 「魚介は蒸して食べるのが一番」という漁師さんの知恵から生まれた新感覚料理です。

前菜や季節の野菜、魚貝からお肉までを特製蒸気鍋で蒸し上げ、ポン酢やごま油で味わえます。そして、鍋底で生米から炊き上げたお粥も絶品! お腹いっぱいになること間違いなしのコースです!

冬季限定なので、これからの季節にぜひ行ってみて下さい










Author
はなな
海と魚が大好きな高校生です。特に泳いだり、潜ったりするのが大好きです。豆チョウ採集や釣り、アクアリウムやお魚料理など、海や魚に関することをお伝えしていきます!