ビア・カンではなく……
クリスマスといえばチキン! ご家庭では「ケンタッキー」を買ってくることが多くても、お外のキャンプでは本格的に丸鶏を焦んがり焼きたくなりますよね。焚き火やダッチオーブンで。
そんな時、「ビア缶チキン」なるものがキャンパーの間で定番になっているのはご存知だと思います。半分ほど飲んでしまったビール缶を、丸鶏のお腹に突っ込んで火にかける……という豪快なアウトドア料理。
沸騰したビールが、鶏肉を内側からふっくらジューシーに焼き上げてくれるのですが、缶を直火にかけることの危険性により、流行り始めた当時から賛否両論を呼んでいました。
そしてこの秋、「日本製缶協会」が正式にその危険性を呼びかけ、ニュースtweetなどでもキャンパーの耳目を集めました。公式サイトによると「塗料やフィルムなどの有機膜」が溶け出す危険性があるそうです。
「缶詰の直火調理はやめて」キャンプブームで日本製缶協会などが注意喚起…有害物質が溶け出る?適切な方法を聞いた #FNNプライムオンライン https://t.co/392sQfr8uz
— FNNプライムオンライン (@FNN_News) November 3, 2022
真夏の方程式再び!
福山雅治さま主演の探偵ガリレオ劇場版2作目。『真夏の方程式』を観ていて思いついた着火剤については、前々回の記事でご報告しました。「あまりトリックとは関係ありませんが……」とお断りした上で。
その元になったのは「紙鍋」をつつくシーンです。旅館でたま〜に出てきますね。「湯川教授(福山さま)がその旅館の少年に「直火で炙っているのに紙が燃えないのはなぜか?」と問いかけます。
その答えを「鍋のおつゆが100℃を超えて蒸発しない限り、紙の発火温度(約3〜400℃)に至ることはない」と説明しているうちに、事件解決のキッカケに思い至るシーンなのですが、それならば!!
「実に面白い!」……ビア缶がダメなら、代わりに紙の牛乳パックでも大丈夫なはず! 前々回の着火剤もロウソクの芯の原理で燃えませんでした。牛乳パック(紙)でも、ロウソクの芯(綿)でも、液体に接している限り燃えないはずなんです!!
調理開始!!
そうとなったらさっそく実験……調理開始です! 丸鶏のお腹に入れるために小さめの牛乳パックを用意しました。他の材料はスタンダードなビア缶チキンと同じ。写真でご覧の通りになります。
・丸鶏(お好みのサイズで1羽)
・牛乳パック(鶏のサイズに合わせたもの)
・ビール(お好みの量で)
・オリーブオイル(少量)
・レモン(少量)
・塩(少量)
・スパイス(少量)
・アルミホイル(少量)
① 鶏の表面についた水分をキッチンペーパーで拭き取った後、フォークで皮をブスブス刺します。焦んがり美味しくなるように、いっぱい刺してください。
② 鶏の表面にレモンとオリーブオイルを塗り、塩、コショウをふり掛けます。「ほりにし」や「マキシム」などのお好みのスパイスでも構いません。
③ 牛乳パックに半分くらいビールを注ぎ(あとは飲んじゃって……)
④ お腹(おしり)に突っ込み、縦にした状態で脚や手羽をたたんであげれば、下準備はOK。塩を多めにして、1時間ほど染み込ませておくと美味しくなりますよ!
⑤ 前回の記事で燃やした「ナダル」くんが熾火(おきび)になったところで、焚き火台にセットして、アルミホイルでふわっと緩く包みます。下からの熱が鶏全体に行き渡るよう下部は広げ気味に……。
⑥ 実はここで時間が飛んでます。日が暮れてしまいました。実は熾火だけでは火力不足で、形成炭を追加しました。ついでに消火用に用意していたバケツもかぶせました。
⑦ 火力を増やしたら難なく焼きあがりました。途中、下の牛乳パックが燃えてビールがこぼれ出すこともなく、さすが湯川教授の言う通り。美味しそうな匂いが辺りに充満しています!!
試食&考察
お味の方は……もう言うまでもありません!! まいう〜! うまし!! ウマーベラス!!! 焼くのに時間がかかってしまった分、肉がパサパサになっちゃったかな〜とも懸念したのですが、そんなことはまったくなく、ジューシーで皮はパリパリ!!
やっぱり直火で焼いた丸鶏は香ばしさが格別。市販品やレストランと比べても、ひと味もふた味も違いますね! そして気になる牛乳パックはほぼ無傷のまま。鶏の脂でベタベタになりましたが、燃えた跡も、焦げた跡もありません。
だがしかし! 考えてみれば牛乳パックだって塗料やフィルムを使っているような……。湯川教授の原理のおかげで溶けた感じもありませんが、編集部の科学力では「100%安全」とは言い切れません。
牛乳パックといえば、「カートンドッグ」の時はホットドッグごと燃やしちゃったりしますし、「雪印メグミルク」さんのHPでは「燃やしても有害物質が出ません」と説明されています。
「紙とポリエチレンの層でできているので、燃やしてもダイオキシンなどの有害物質を出しません」とのことですし、そもそもポリエチレンは炭素と水素からなる高分子で、体内に入っても害にならないとはされています。
自ら実験と記事の意味を台無しにしてしまいますが、心配な人はダッチオーブンで焼いても美味しくできますよ。編集部としましては皆様の楽しいクリスマスの宴と聖なる夜をお祈り申し上げます。Merry Christmas!!