感動の最終巻です!!
新刊の出るたびお知らせしてまいりました佐倉イサミ先生の『もふっとキャンプ』……動物たちが繰り広げる編集部お気に入りのキャンプマンガですが、いよいよ? とうとう? 最終巻を迎えてしまいました〜。
過去の記事へのリンクも下に貼っておきます。最初の①巻&②巻発売時にお話を頂いたのが2022年の3月。もう2年半も前になるんですね。その後③巻、④巻とご紹介し、今回の⑤巻が最終章となります。
*プレゼント付き記事!『もふっとキャンプの紹介』
*新刊発売のお知らせ!『もふっとキャンプ第3巻』
*新刊発売のお知らせ!『もふっとキャンプ第4巻』
よろしかったらこれを機に、過去の記事もお読みになって全巻揃えてみてくださいね。気軽に読みやすい5巻完結。絵本のような表紙で、手元に置いておくとそれだけで癒される装丁になっております。
あらためてご紹介
過去の記事を読むのがメンド臭い方のために(そういう方が大半でしょう)、『もふっとキャンプ』の内容とその魅力をいま一度おさらいしておきましょう。もう十分にご存知の方は、この章は読み飛ばして、次の5巻の内容に行ってください。
一言でいえば、キャンプを始めたばかりの方にも、キャンプを極めた方にも手にとって頂きたいマンガです。ビギナーさんにプレゼントしても良し、ベテランさんが読み込んでも良し。幅広い層に満足いただけると思います。
ギアのことや設営のこと、キャンプ飯のノウハウもしっかり描かれている上に、分かる人には分かるディープな小ネタも満載。ひとくくりにキャンパーと言っても様々な人がいますが、それが様々な動物となって「もふっと」登場します。
その可愛さに癒されつつ、物語を読み進めるだけでも楽しめます。ベテランさんが読んでも、知らなかった知識に出会えます。しかし、通底に流れるちょと不思議な雰囲気が、何とも言えない一番の魅力だと思うのです。
5巻の内容(or感想?)
過去の記事をさかのぼると、毎巻かなり深読みな考察をしていて、我ながら恥ずかしいくらいです。ですが5巻を読み進めてみると、これまたなかなかに深い! 最終巻にふさわしくディープな結末が用意されています。
4巻まで読み進めていた方は、主人公のひとり(一匹)「マヤちゃん」にまつわるちょっとした不協和音、不安感を感じてこられてきたと思いますが、もちろん最終巻ですから、その問題も見事な結末に昇華されています。
本稿でもそれを引き継いで、筆者なりの考察を続けたいと思いますが……キャンプを一種の自分探しとして、3巻では柳田國男の「遠野物語」、4巻ではジャック・ラカンの「胸像段階」をその足掛かりに援用しました。
これまでの考えを否定するかのような都市部に生活する一部の「平地人」に対する警告とも、あるいは山中には列島渡来の民族とは異なる先住異民族がいまだに生存していると考えた柳田の、山人論を立証しようとする意気込みが窺える──(Wikipedia)
この引用した「遠野物語」の説明を再掲すると、その深読みもまんざらハズれではなかったように思います。そして自分を他者に映し出すミラーリング効果のような効用も、キャンプという遊びに関して言えば、次のような表に集約できるのではないかと思います。
キャンプという「遊び」
この図はフランスの社会学者ロジェ・カイヨワが東西の文化を整理したものです。文化の中でも人が能動的に取り組む「遊び」の魅力を「規則」と「意志」のある・なしで区分しています。
左側の第一象限と第三象限にある「アゴン(競争)」と「アレア(運)」に依る遊びは西洋的ですね。一方で右側の第二象限と第四象限、「ミミクリ(模倣)」と「イリンクス(眩暈)」は東洋的とされています。
そしてキャンプはどちらかいうと右寄り。意外なことに東洋的な遊びの性質を持っています。編集長の森風美は「キャンプに勝ち負けはありません」と口にしていますが、「アゴン(競争)」と「アレア(運)」に振り回されるのは日常の「お仕事」の方でしょう。
キャンプは本来、西洋文化が好むようなゲームではありません。先輩のやり方を模倣(ミミクリ)して、大自然の雄大さや、焚き火の美しさ、キャンプ飯の美味しさに恍惚感(イリンクス)を味わうものです。
ぜひ最後までお読みください!!
なぜ人はキャンプをするのか? 人も動物の一種ではないのか? 人類の先祖はどのような生活をしていたのか? ……今回も深読みの考察を交えながら、本の紹介がそっちのけになってしまいました。筆者の悪い癖です。
ぜひ、巻末のおまけマンガ「猫田のその後」までお読みになってください。原点に立ち戻って、キャンプの楽しさや魅力を再確認できると思います。特にお仕事やネットのデジタルライフに追われている方にはオススメ。